工場において騒音対策は重要なテーマのひとつです。ここでは、パーツフィーダーの騒音の原因や対策についてまとめました。
工場や建設工事では、発生する騒音に対して規制する「騒音規制法」が国によって定められています。目的は、生活環境を保全して国民の健康を守ること。対象となる工場は限定されていて、送風機や機械プレスを有するなど大きな騒音を発生させる工場です。
また、深夜の騒音に関しては別途規制が設けられています。具体的な規制対象は、地域によって異なります。詳しく知りたい方は、自治体に問い合わせてみましょう。このような法律や規制を遵守するため、騒音対策は重要なのです。
法律で定められた基準を下回っていたとしても、近隣住民から騒音に対して苦情がくれば対策しなければなりません。令和4年度の工場・事業場の騒音に対する苦情件数は5,236件で、騒音に関する苦情全体の25.6%を占めています。
実際に寄せられた苦情だけでもこれだけの件数があるのですから、潜在的に工場の騒音が気になっている方はさらに多いと考えられます。このような苦情を防ぐためにも、騒音対策が必要といえるでしょう。
騒音がひどい工場勤務をしている作業員の中には、耳鳴りや他人のことばが聞こえにくいなどの症状がある方も少なくありません。このような症状を放置していると、難聴につながる可能性があります。
工場で働く作業員に対する騒音対策も疎かにしてはいけません。工場作業員の労働環境改善のためにも、騒音対策は重要です。
パーツフィーダーの騒音の原因には、振動本体の稼働音が挙げられます。また、製品や部品などのワークとボウルがぶつかる音、ワーク同士がボウル内でぶつかるときに発生する音も騒音源となります。
ボウルは金属製のため、特に金属製ワークを投入した際には金属同士がぶつかり合うことで大きな騒音が発生します。騒音を軽減するためには、ボウル内面にコーティングを行うことが有効です。
コーティングには、ウレタンコーティング・テフロンコーティング・ゴムライニング・ベルト材貼付などがあり、どのコーティングを選択するかはワークの特性などによって異なります。また騒音を小さくする手段のひとつとして、パーツフィーダー全体を防音ボックスで覆う方法もあります。
騒音対策として、パーツフィーダーに防音ボックスを設置する方法も有効です。吸音材には、ウレタンフォームを採用。部材は樹脂とアルミです。防音ボックスによって全面を囲うことで防音効果が期待でき、工場内の労働環境改善にもつながります。
騒音を減らすため、静音モデルのパーツフィーダーを導入するのもよいでしょう。一般的なパーツフィーダーは電磁石を動力源とした振動式ですが、村田精工の「無音くん」はモーター駆動によってボウル自体がまわる構造です。
そのため振動式と比べてワークに傷がつきにくく、騒音も少ない静かなフィーダーとなっています。騒音値は電磁式と比較して、約15~20デシベル下がります。さらに電気使用量も少なく、ボウル内表面が摩耗しにくい構造となっているため長寿命。排出速度は、調節することが可能です。
空気圧機器などのFA商品や計測検査、ロボットなどを通じて自動化・省人化による品質向上を提供するサンゲン。そんなサンゲンでは、低振動・低騒音のパーツフィーダーを製造しています。
ワークの投入量が少ないため雑音が小さく、フィーダー自身が自己バランスを取るように設計されていることから外部に与える振動も小さくなっています。また、フィーダーとホッパーが一体化していて、設置スペースが小さいのも特徴のひとつです。
春木製作所の「サイレント回転ボールフィーダー」は無振動のため、音が静かで作業環境に配慮したフィーダーです。特許申請中である構造は従来の振動式フィーダーとは異なり、平面で送るため平面耐荷重が大きく、重量ワークに対しても騒音なく部品を搬送できます。
ワーク排出量は、インバーター制御で自由に調整可能。回転円盤にワークを乗せて排出するので、耐久性にも優れています。シンプルな機構なため、メンテナンスしやすいのも魅力のひとつでしょう。
■選定条件:
Googleで「パーツフィーダ」と検索( 2023年7月14日時点)して表示されたメーカーの41社うち、
村田精工……最も導入実績社数が多い会社として選出しました。
東レ・プレシジョン……多品種対応している中で、ワークへのキズ対策・整列機能・検査機能など、最も多くの機能を搭載している無振動式のパーツフィーダーを提供している会社として選出しました。
シマテック……唯一、24時間・365日・休日・夜間を問わず修理・メンテナンス・移設に対応している会社として選出しました。