停止時間の少ない故障が頻繁に起こることを「チョコ停」と呼びます。パーツフィーダのチョコ停・詰まりはなぜ起こるのでしょうか。ここでは、仕上げ・コーディング、静電気、不良品の混入といった3つのその原因と対策をご紹介します。
パーツフィーダのボウル内は、耐磨耗性や搬送能力を向上させたり、静電気対策のために、表面処理が施されています。一般的にはウレタンコーティングが多いですが、油付の金属のワークハバジット(シート貼り)加工をしたり、医療用や食品関係向けのバフ仕上げ、ステンレスのボウルを焼入れ処理で硬化させるタフトライドなど、ワークの種類や性質に合わせたさまざまな処理法が採用されています。
製作時の仕上げやコーティングの精度が低いと、部品の引っ掛かりや部品の停滞が多発し、チョコ停の原因となりかねません。さらに長期間使用し、コーティングが剥離してしまうと、流れが悪くなってチョコ停が多発します。この場合は、設備自体の改善が必要になるでしょう。
パーツフィーダのボウルには、振動でワークを整列させるための振動体が付いています。ワークは、この振動によって摩擦と剥離を繰り返しながら各工程を流れていくため、静電気を蓄積。くっついて塊になったり、コンベヤにくっついたりして、詰まりやチョコ停の原因になってしまいます。また、ワークが積み重なった状態で振動が加わると、そこでまた、ワーク同士が擦れあい、静電気を発生してしまいます。
「ワーク同士が擦れあう」ことで摩擦帯電が発生しますので、擦れあっているところで極力摩擦帯電が発生しないように設備を改善したり、各工程で除電できるようにイオナイザを設置することが必要です。
キャップ状のワークの天地選別に採用されている「クシ歯選別」などでは、ワークのリズムとクシ歯の位置が同期することで不良品が通り抜けてしまうという特性があります。クシ歯の数を増やしても結果は変わりません。
この場合は、クシ歯のリズムを変えることが大切です。クシ歯のピッチを変えて同じ形状を連続させないようにしたり、クシ歯とクシ歯の間に力が逃げる構造を設けるなど、効果的な構造を作ることで、トラブル発生率がぐっと下がるとされています。
ボウルの表面が汚れていたり、摩耗によって傷が生じていたりすると、スムーズな部品供給が行われずにチョコ停や詰まりといったトラブルが発生しやすくなることもあります。ボウルが汚れる原因としてはワーク由来のものだけでなく、搬送ラインの中で付着した油やホコリ、その他のゴミなど様々なものが考えられるでしょう。
そのため、定期的なメンテナンスや清掃でボウルの状態を適正に保たなければなりません。
振動によってワークを搬送しているパーツフィーダの場合、駆動部分の経年劣化など様々な理由によって振動が弱くなってしまうと、目的とする搬送能力を維持することが難しくなります。
振動が弱くなる原因としては機械的な劣化や原因だけでなく、不安定な場所にパーツフィーダを設置することで力が十分に伝わらず、エネルギーが外部へ逃げてしまうといった問題も生じやすくなります。
色々と対策を講じたもののパーツフィーダーの流れが悪いままだったり、どうしてもチョコ停が改善しなかったりした場合、素人がそれ以上の修理や調整を試みるのでなくメーカーや販売店へ問い合わせてみることが大切です。また、企業によっては他メーカーのパーツフィーダーについて修理やメンテナンスを受け付けてくれることもあるため、もし購入メーカーがすでに存在しない企業となっていても心配はありません。
メンテナンスや簡易の調整で状況が改善せず、改めて本格的な修理が必要になった場合、修理の内容によってはメーカーや業者へパーツフィーダーを数週間ほど預けなければならないケースもあり得るでしょう。そうなれば、その間の生産ラインの効率が低下したり業務フローに悪影響が及んだりする上、修理の程度によっては新品購入と同程度の費用がかかってしまう恐れもあります。
古いパーツフィーダーを修理して対応するのか、それとも新品を購入するのか、どちらが良いかを含めてメーカーへ相談してください。
チョコ停は、大きなトラブルに比べて復帰までの時間が短いため、問題として顕在化しにくく、工程の作業者しか知らなかったり、原因の追究や対策が後回しにされるケースも多くあります。たった5分のチョコ停でも、稼働率低下、品質問題発生、安全上の問題発生など、生産現場に大きな影響を与えることがありますので、繰り返さないよう、早期に原因を見つけて対策を取りましょう。
TOPページでは、お悩み・課題に合ったパーツフィーダ・メーカーを紹介しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
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