こちらの記事では、パーツフィーダーから騒音が発生するメカニズムを整理していきます。さらに、騒音問題への対応についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
パーツフィーダーを稼働させていると、激しい騒音が問題となることがあります。ここでは、なぜパーツフィーダーの稼働中に激しい騒音が発生するのかについて、「衝突音」「振動音・共振」「落下音」という3つの観点から解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
パーツフィーダーで発生する騒音の原因のひとつが、ボウル内で発生する衝突音です。パーツフィーダーでは、ワークに振動を与えることで整列させていきますが、このとき大量のワークがボウル内で揺さぶられます。その結果、ワークが互いにぶつかり合うことによって甲高い連続音(金属音やプラスチック音)が発生します。
ボウルを振るうための駆動部(電磁振動機)からの振動音や共振も大きな騒音元となります。このときの振動はボウルだけではなく、装置を支えている架台やその下の床面にも伝わっていくことで、低音の共振音を発生させます。
ボウル内には、逃げ構造(リターンシュート)や選別アタッチメントが設けられているため、不良姿勢となっているワークがボウルの底に落下し、他のワークや底に衝突する際に大きな音が出ることになります。
ここでは、既存のパーツフィーダーでできる主な静音対策について解説していきます。パーツフィーダーの稼働中に発生する激しい騒音に悩まされている方は、ぜひ以下で紹介する方法を参考にしてください。
ボウル内部やシュート部など、ワークが接触する面に衝撃を吸収するためのウレタン樹脂やゴムによるコーティング(ライニング)を施す方法です。この対策は、比較的低コストで衝突音を大幅に軽減できる点がメリットです。ただし鋭利なワークを用いる場合には、コーティングした部分が磨耗する・剥がれが発生する可能性があるため、定期的な点検を行い必要に応じて再コーティングを行っていく必要があります。
防音ボックス(防音カバー)を設置するのも、騒音を防ぐための選択肢のひとつです。この方法では、パーツフィーダーのボウル部分、あるいは装置全体を透明のアクリルや防音材を用いた防音ボックス(防音カバー)で覆うという形になります。
この方法では騒音源を物理的に囲えるため、遮音効果が高いものの、装置の周囲を防音材で囲むことになり設置スペースも大きくなります。さらに、防音材で覆った内部は外から見えにくくなり、もしチョコ停(詰まり)が発生していても気づきにくく、結果としてメンテナンス性が低下することがある点には注意が必要です。
駆動部からの振動がその周囲に伝わるのを防ぐために、パーツフィーダーの架台や台座に防振マウントや防振ゴムなどの防振材を挟み込む、という対策もあります。この対策によって、架台や床面の共振による低音の不快な共振音や、「ドシドシ」といった騒音を抑えられます。
ただし、これは振動の伝達を抑える方法であるため、ボウルの内部で発生するワーク同士の衝突音(甲高い音)そのものを減らす効果はありません。
上記のような対策を行うことによって、パーツフィーダーから発生する騒音を抑えられます。ただし、メンテナンス性の低下やワークの傷つきにつながる可能性がある点に注意が必要です。
騒音を防ぐ目的で防音カバーを設置した場合、内部の様子を確認しにくくなる点が問題となります。視認性が落ちることによって、もしワークの噛み込みや供給停止が発生していたとしても作業者がすぐに気づけないケースがあります。作業者が気づけなければ、生産ラインの停止時間が延びてしまうことにつながりますので、生産効率が低下してしまう可能性があります。
防音ボックスや防音カバーで装置を覆った場合、密閉することになるため熱の逃げ場がなくなってしまいます。その結果、内部に熱がこもりやすくなるという問題が発生します。さらに、静電気や粉塵も防音ボックスやカバーの内部にこもりやすくなります。
上記の点から作業者は調整を行う必要が出てきますが、その度に思い防音カバーの開け閉めを行う必要があり作業者にとって大きな負担となるため、メンテナンス作業の効率を悪くすることにつながってしまいます。
防音ボックスや防音カバーは、あくまで外に漏れる音を物理的に遮断して閉じ込めるものです。そのため、騒音の根本的な原因である、ボウル内で大量のワークが激しく衝突しているという状況には影響を与えません。
この点から、ワークがボウル内で長時間揉まれることによって発生するワーク表面の傷や打痕については根本的に解決できません。
パーツフィーダーの騒音への対応として、音の発生源を絶てる「無振動・フラット供給」という方法を採用するという選択肢があります。
ボウル内で大量のワークを振動させるのではなく、フレキシブルフィーダーなどのように、平坦なプレート上にワークを「必要な分だけ」少量ずつ供給し、ビジョンカメラで認識させる方法です。この方法ではロボットにより直接ピックアップを行っていくためにワーク同士の激しい衝突が発生せず、音の発生源をなくせます。
「無振動・フラット供給」を採用した場合、強力な電磁振動でボウル全体を揺らす必要がなくなります。そのため、駆動部の重低音や共振を低減させられます。その結果、稼働音そのものが静かになるという効果が期待できます。
装置自体から不快な騒音が発生しなくなるため、防音ボックスや防音カバーで覆う必要がなくなります。内部観察を行う上で遮るものがないためワークの供給状態を確認でき、トラブルの兆候が見られた時にもすぐに対応可能です。また、ワーク同士の衝突や傷、打痕を防ぐこともできます。
パーツフィーダーからあまりにも大きな騒音が発生している場合には、作業員は耳栓をつけて作業をする必要がありました。しかし、「無振動・フラット供給」では耳栓が不要の作業環境を実現でき、作業者の負担軽減と、工場全体における労務環境改善(第Ⅰ管理区分の維持)に貢献できます。
こちらの記事では、パーツフィーダーの静音化について解説してきました。静音化を目指す場合には、防音カバーなどの後付け対策が考えられるほか、「音が発生しない供給方式」を選ぶこともおすすめです。この方式を選択することによって、チョコ停や傷の防止、メンテナンス性の向上も同時に達成できるというメリットが期待できます。
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